プレスリリース

4.7.2009 | CzechInvest | E&Y: 不況によって欧州におけるFDIが停滞。チェコはベスト20位以内に残る 近年の人気投資国であるチェコ、スロバキア、トルコも落ち込みが見られる。チェコはまだベスト20カ国の一つ。

Ernst&Young社の第7回目の調査によると、 欧州域内の外国直接投資が昨年停滞し、世界的不況の影響がこの分野にも及んだとみられる。チェコはまだ世界的にFDIの人気20カ国にランクインしている。2007年に対して外国直接投資件数が5%増加したものの、外国直接投資件数の国別ランキングでは前年の9位から14位に後退した。また新規雇用機会創出数は前年比63%と大幅に減少している。この傾向は欧州各国に見られる。欧州地域における2008年の投資件数が横ばい状況である一方、深刻化する不況の雇用への影響が著しい。

不況に伴う不安によって投資家のプライオリティーが一時的に従来の市場に移った。今年2月に全世界の投資企業809社に調査した結果によると、西欧(40%)と中東欧(39%)が同じく「最も安全な地域」として評価を受けた。言わば、子会社を設立或いは既存事業を拡大するのに一番人気のある地域となっている。一方、対ブラジル、ロシア、インド、中国の投資は一時的に減少している。52%の回答者によると、今後3年間は中東欧が外国直接投資に最も魅力的な地域になる。

世界経済の主導企業にとっては、不況に耐えて既存資産の収益率を最大限に拡大することがポイントとなっている。新規市場への進出は大きな機会を提供すると同時にリスクも大きい。欧州は予測可能で安全だと見られる。また、現在の投資家は本国及び従来の市場に集中してより保守的になっており、外国投資を控えている。弊社の調査によると、中東欧が今後3年間で最も魅力的な投資対象地域になるとの朗報がある。」とチェコErnst&Young社の主席パートナーのマグダレナ・ソウチェク女史が言う。

2008年において対欧州投資プロジェクト件数はほとんど変化が見られない一方、深刻化する不況の雇用への影響が著しい。対欧州投資プロジェクト件数は3718件で、2007年より6件多い。投資プロジェクトによる新規雇用創出数は148,333で前年比16%と減少している。

「2008年のデータだけでは、外国直接投資への不況による実際の影響を完全に見込むことができない。2008年に実施した投資は、不況の始まる数ヶ月前に決定したものであるため、前年に比べると対欧州投資プロジェクト件数が横ばい状態にある。2009年の展開が一変すると思わざるを得ない。」とチェコErnst&Young社の主席パートナーのマグダレナ・ソウチェク女史が言う。

2008年の対チェコ投資は、前年比5%増大したが、欧州国別ランキングでは前年の9位から14位に後退した。新規雇用機会創出数は5,626で前年の15,102に対して63%減と大幅に減少している。

戦勝者と敗北者

不況の第一犠牲者はその顧客が要求を抑えざるを得なかったIT及びファイナンシャルサービス、コンサルティングサービス業である。特に英国、フランス、スペインに大幅な落ち込みが見られる。これらの国々では、2008年のこの分野における外国直接投資による新規雇用機会創出数が1⁄3減少した。

また、近年の人気投資先であるチェコ、スロバキア、トルコは自動車産業と電子産業への投資減少にみまわれている。

チェコインベストによると、新規投資プロジェクトの投資額が長期的に下がる傾向にある。「90年代は、建物・施設・設備の膨大な投資を要するグリーンフィールドプロジェクトを勧誘しやすかったが、最近は高額な設備を要しないプログラマー・設計者・開発者等の従業員の育成に投資する企業が増えつつある。」チェコインベストの長官のアレクサンドラ・ルディシャロヴァー女史が言う。

 

2008年の投資構造が根本的に変化した。R&Dを含むサービス業が初めて新規プロジェクトの過半数を占めた。数年前までは自動車産業がリードを取っていたものの、昨年はソフトウエア開発をする企業による投資が最も多かった。製造業でないサービス分野が同等なレベルになった」とルディシャロヴァー女史が補足説明した。

一方、比較的に容易に不況に耐えている経済部門もある。例えば欧州におけるエンジニアリング産業への外国直接投資が19%上昇した。2008年の最も成功した分野は新規雇用機会創出数が約6,000であった再生可能エネルギー分野であり、市場で新たな機会として迎えられている。

ドイツ、スイス、スウェーデン、イタリアとアイルランドではFDIが増大または安定している状態が見られる。対ドイツの外国直接投資額が28%増加した主因として、経済的サービスとソフトウエアの需要がある、及び投資企業がドイツ向けと東欧市場向けの拠点をドイツに設置することが挙げられる。

外国直接投資誘致の欧州国別ランキングの1位を改めて収めたのは英国であり、2008年に前年比4%減の686件の投資プロジェクトが実施された。不況にもかかわらず外国直接投資において欧州ベスト国では最小限の減少しかみられない。英国の他に上位4カ国に1997年以来全世界の投資家の狙いであるフランス、ドイツとスペインが残っている。

 

2009年の見込み

不況による2009年の外国直接投資の落ち込みはより顕著になるとみられる。第一四半期のデータによれば、新規プロジェクト件数は前年同期比8%減少した。本調査において問い合わせた主要投資企業の53%は年内に新しい投資をしないことに加えて、既存の投資を拡大する計画もないという。

「金融危機に伴い企業内の新規投資が停滞或いは減少している。チェコと同様にドイツや中国に同じ状態が見られる。しかしながら、今後数年の見込みが肝心である。調査によると、中東欧地域が将来の投資の可能性が依然として最も高いとみられる。また、過去を振り返ってみると、チェコはグローバル景気の減速によって得した実績がある。21世紀当初の経済状況によって各企業がより有利な地域を検討する他なかったなか、チェコは投資優遇措置システムのおかげで新しい投資企業を受け入れて、適当な条件を提供する状況がすでに整っていた。それ以来、チェコ経済は極めて変化したものの、ドイツやフランスに比べて営業費がより低い水準にある。加えて、サービス業に適している国としての評判ができたため、サービス業に投資する企業に焦点を当てたい。」チェコインベストの長官のアレクサンドラ・ルディシャロヴァー女史が言う。

 

投資の出資国

欧州における最も重要な外国投資企業は欧州国籍(ドイツ、英国、フランスが合わせて51%を占める)とアメリカ国籍(25%のシェア)である。ブラジルやロシア、インド、中国系企業による欧州における投資プロジェクト数はまだ比較的に少ないものの、増えつつある。中国とインド系プロジェクト件数が2007年の118件から182件に上昇した。これらの投資目的国としては英国が最も多い。

 

世界主要都市の魅力

欧州における最も魅力的な都市は、連続7回目の、昨年262件の投資プロジェクトを受け入れたロンドンとなった。とは言っても、昨年のプロジェクト総数が前年比14%減少し4年間の成長に終止符が打たれたことから、英国の首都も景気後退の圧迫を受けているとみられる。それにしても競争相手をまだ極めて上回っている。2位となったパリは、222件のプロジェクト、3位のマドリッドは80件のプロジェクトを誘致した。しかし、欧州各国の首都を含む従来の先進国中心の優位性を、外国の経験とノーハウを上手に取り入れている上海やバンガロール等のアジア新興都市が奪おうとしている。

 

「しかし、経済的に魅力的な要素が徐々に西から東へ、北から南へと移動することを不況も妨げることができない。依然として発展途上市場の可能性を信じている者は決して間違えていない。Ernst&Young社が最近発表した報告によると、ブラジル、ロシア、インドと中国は2009年~2020年のグローバル経済成長の40%を占める」とEMEIA地域(ヨーロッパ、中近東、インド、アフリカ)担当の主席パートナーのマーク・オティ氏が言う。

 


調査について

Ernst&Young社が昨年12ヶ月をかけて実施した2009年の外国投資の欧州誘致状況調査が独自の方法を採用している。情報源を二種類とし、下記の要因を考慮している。

  • 外国投資家にとって欧州各国の「客観的な」誘致状況。これに関する情報は、Ernst&Young社のEuropean Investment Monitor (EIM)データベースに基づく。このデータベースは、新しい施設や新規雇用機会が創出された外国直接投資プロジェクトの情報を収集している。ポートフォリオ投資や合併・買収を含まないので、ヨーロッパ大陸全体における製造業またはサービス業への外国投資を正確に反映している。
  • 外国投資家にとって欧州各国及びその他の大陸の「主観的な」誘致状況。国や地域の誘致状況は、次に挙げられる要因に左右される:評判、投資家の信用、外国投資家に競争力のつく利点を提供する能力。これらの情報は、独立機関CSAが今年の2月~3月に代表的なトップマネージャー806人に電話問い合わせして収集したものである。

 

Ernst&Young社について

Ernst&Young社は、監査・税務・取引・企業コンサルティングにおける世界規模の 主要企業。全世界に同等な価値観を持ち、サービスの品質を追求している135,000人の専門家を擁する。従業員、顧客や社会にそのポテンシャルを発揮できるサポートをしている。それが私どもの貢献であろう。

詳細はwww.ey.com/czホームページを参照。

Ernst&Young社名は世界の全拠点に使用され、本社は英国のErnst&Young Limitedである。各拠点が独立法人資格を有する。Ernst&Young Limitedは直接に顧客にサービスを提供しない。

関連ファイル

Description Type Size Date

European Attractiveness 1

62.95 kB 13.7.2009

European Attractiveness 2

82.21 kB 13.7.2009